・・・
《参るよね。あの時ボクは、無意識に力を使ったみたいで……結果、雨が降ったらしいけど。人間に関与しすぎて叱られたあげく、本当にか弱い小動物になっちゃって》
憐れに思ったのか、それとも皮肉なのか。
人間と意志疎通できる能力だけは、子リスに残されていた。
《何もしてないよ。ボクはロイとジェイダを引き合わせただけ。それから先は二人の……みんなの努力だ》
ジェマとロドニーを失った時、再び人間を恨んだ。
ロイとジェイダに会ってからも、しばらくは半信半疑だったが。
《キミらも見ただろ。二人なら、きっと叶うよ。あー、長かった。ロイと初めて会ったのが、大昔みたいだ》
ロイはこの森を何度も訪れていた。
ロドニーとレジーに会う為に、何度も何度も。
・・・
《ロイ》
森で眠りこける青年は、まるでお姫様みたいだ。
『……え……? 』
ハッと起き上がるが、当然ながら人の気配はない。
《おーい、こっちこっち》
ぴょこんと彼の体に飛び降りて、やあ! と片手を挙げてみると。
『………ついに、イカれたかな……』
まあ、そう思うのも無理はない。
国に戻るロイに同行し、話しかけ続けること数日。
《ねえ、お腹すいた。マシュマロ欲しい》
『……僕がそんなの持ってる訳ないだろ』
何とか納得してくれたのだった。
本当に長く、短い日々だった。
懐かしく思えば思うほど、辛い記憶も戻ってくるけれど。
《これで、ゆっくり眠れるかな。後は、人間様に任せてもいいよね》
そう言って子リスが目を閉じかけた時、そよそよと風が吹いた。
《え? もう一働きしろって? しょうがないなあ。……ま、ボクも挨拶してなかったから、いいけどね》
とはいえ、さすがに人間の恋路まではどうにもできない。
(だから、早く落ち着くとこに落ち着きなよ。世話の焼ける)



