翡翠の森




・・・


『あ、マロだ! 』


(……う。レジー)


捕らえられそうになり、精霊は逃げた。
だが、イタズラ小僧は家の中を走り回り、躍起になって追いかけてくる。


『マロ?? 』

『そう。母さんがつけた。……変だろ』


(助けて、ジェマ!! )


小さな怪獣たちは、笑顔で突進してくる。
悪意はないのだから、精霊としても逃げに徹するしかない。


『こら。マロを苛めないの。レジー、変とか言わない! 』


ペシッと兄の頭を叩く母を、ジェイダがにこにこと見上げている。


『マロ』

『そうよ。この子、木の実とか食べてくれないんだもの。ふわふわしたのが好きなのかしら。だから、マロ』


リスの形をしているが、リスの食事をしている訳ではない。
もっとも、精霊に食事は必要なかったが。


『可愛いリスさん。おいで? 』


ジェマの陰から顔を出せば、少女は満面の笑みを浮かべている。


(あー……。子供って、手加減なしなんだよなあ……)


『優しくよ、ジェイダ』


ジェマも注意してくれたし、ここは可愛い小動物を演じるべきか。


『けど、僕らが付き合う前からいない? そのリス』

『そうね。でも不思議と、同じ子だって思うの』

――まるで、見守ってくれているみたい。