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『あれ、またそいつといるの』
ロドニーが近寄り、精霊はパッと飛び退いた。
『あっ……もう。驚かせちゃったじゃない。最近、よく遊びに来てくれるの。ね? 』
おいで、おいで。
ジェマの細い指に誘われ、彼女にくっついた。
『脅かすつもりはないけど。でも、なーんか邪魔してくるんだよな。そのリス』
(邪魔してるんだよ。分かってんじゃない)
恋だと認めていなくても、ジェマに会いたい想いは抑えきれず。
精霊は子リスの姿を借りて、現れることにした。
女の子は、小さくて可愛いものが好きだろうという、単純な打算からである。
『嫉妬深いのね』
けらけらとジェマが笑う。
その笑顔が大好きだった。
祈り子なんてふざけたものに選ばれても、町を追い出されても。
幸せそうに笑ってくれる、彼女の強さが眩しかった。
汚いばかりだと思っていた人間が、こんなにも美しく輝いているなんて、精霊は知らなかった。
こんなに綺麗だったら――……。
(一緒にいれるかも)
ずっと、ずっと。



