夢を見ていた。

ちょうどいい暖かさと、時折吹く風が心地いい。
緑は美しく、瞬きが勿体ないほど見入ってしまう。

笑い声がする。

大人も子供も、男女の別も。
それどころか国の事情すら関係なしに、何が楽しいのか笑い合っていた。


(夢を見ているのね)


彼らを見て、気づいてしまった。
この光景が、現実などあり得ない。


『ジェイダ』


誰かが呼んでいる。


(ちょっと待って。今、起きるから)


とても幸せで、少しだけ悲しい夢。


『ジェイダ? 』


大丈夫。
あなたの声は、聞こえているから。
ただ、目が離れないの。
この、夢そのものの光景から。

待って。


「ロイ――」