翡翠の森


戻った先の、夫婦の部屋は冷えた。


「全て、ご存じだったのですね。私たちは、貴方を軽んじていた」

「そう大したものではない。そもそも貴女を選んでいなければ、こうはならなかったのだからな」

「……でも……私は選ばれてよかったと、今日初めて思いました」


そう言われては、これを尋ねずにはいられない。


「あの男が言ったことが、正しいとしても? 」


既に察しているだろうか――そんな無意味なことを思うあたり、いつしか自分の中に生まれたものは真実なのだろう。それでも、やらざるを得なかった。


「マクライナーに漏らしたのは私だ。どう動くか、見越したうえで。それもまた、奴は分かっているんだろう」


――『舅を殺したのだから』


「思ったとおり、手筈を整えてきた。……手を汚さずに済む方法を」


だとしても、彼を責める理由にはならない。


「だが、私は謝らん」

「……必要ありません」


王という呼び名で裁き、死罪としたなら。
ゴールウェイの恨みは更に募り、復讐という名目を与えてしまう。
北に討たれたという事実は確かに――必要だったのだ。
キースがそこまで配慮したとは思えないが――エミリアにこれ以上の罪を重ねさせない為に。