翡翠の森


戻った先で、待っていたのは――。


「エミリア様!! 」

「おや。貴殿は親戚という設定ではなかったか」


揶揄する国王を、男は演技をやめて睨みつける。


「貴様、よくもそんなことを……!! 」

「控えなさい! 」


仮にも国王への暴言にエミリアは叫んだが、そこは特段気にならなかった。
無表情を装う理由は他にあるが、それに辿り着く前に思考を停止させた。


「エミリア様、騙されてはなりません。その男は、平和主義の甘い男などではない……! 」


その先を言わせぬこともできた。
だが、隠す必要も、隠すべきものでもない。


「非情な男だ。そうして顔色ひとつ変えず」


――舅を殺したのだから。


「……目論んだことを思えば、当然のことよ」


僅かに間を置いただけでそう答えたエミリアに驚いたが、くらりと傾いた体を支える権利は自分にはない。


「な……お気は確かですか、エミリア様!? 貴女の父君ですよ!!」


辛い思いをしただろう。
ここに乗り込んできたのも、彼女の判断ではあっても彼女自身の意思ではない――そんな思いが過ったのに気づき、アルフレッドはぐっと掌に爪を立てた。