翡翠の森


「傀儡のように生まれても、必死で抗い続ける奴もいる。……同情はせん」

「……はい」


その決定的な違いを、口にしないわけにはいかない。
ジェイダにロイ。
それぞれが己の運命に抵抗し、互いに寄り添って進んでいこうとしている。


「どうか、同情などなさらないで下さい」


エミリアは笑った。
夫である自分と二人きりで、初めてこれほど自然に。
もう少しでも早くそれを見れたなら、何か変わっていただろうか。
今更問うても遅いと、アルフレッドは首を振る。
それでも一度浮かんでしまえば、けして消えてはくれないのだ。


「……陛下」


ドアがノックされ、一瞬瞑っていた目を開けた。
耳打ちされた言葉に、眉を動かさずにはいられなかった。


「客人だ、エミリア」

「私に……ですか? 」

「ああ」


短く答えると、アルフレッドは背を向ける。


「悪いが、もう貴女一人にする訳にはいかない」


ここで説明することもできたのに、そうしないのは何故か。
罪人であるはずの彼女に、背を向けることができるのも。
それを、謁見の間に連れていく為だと言い訳しつつ部屋を出る。