翡翠の森



「それで、内容というのは」


皆が席に着いたと同時に、キースが矢継ぎ早に質問を飛ばす。


「待て、マクライナー。……これはまず、ジェイダに向けて話したい」


驚いたのは、ジェイダだけではない。
キースも同じく目を丸め、そして不満そうに顔をしかめた。


「……私はそれほど、陛下の信を得られていないのでしょうか。政など無関心な、女性と比べても」

「蒸し返せば、堂々巡りだぞ」


男たちの会話に、ジェイダは苛立ちを覚えた。
こちらは緊張して仕方がないのだ。
エミリアにいたっては、今にも泣きそうなくらいである。さっさと話を進めてほしい。


「キース。信じてほしくば、それなりの言動をすべきだ。兄さんがこう言うのは、ジェイダに関係があるからだよ」


クルルのことなのだから、何も不思議ではない。
そもそも関係がなければ、連れて来られることもなかったのだし。


「文には当然、国王・国王妃殿下へのお祝いが述べられているけど。お察しのように、要点はクルルに雨が降ったことだ」


そう思うのに、胸が苦しい。


「ついては、約束通り同盟を」


それどころか、ギクリと嫌な音を立てるのはどうしてだろうか。


「早急な締結を目指す為、是非、一度クルルへお越し頂きたい」


――祈り子を伴って。