だけど、ここで天音のペースに乗るわけにはいかない。
「 何? 」
俺は 天音から一定の距離をとってみるけど
「 ごめん。ちょっと話したくて 」
って、俺がとった距離なんてお構いなしに
天音は距離をつめてくる。
そして 俺が天音に冷たい時は
必ず眉を下げて 困った顔をする。
前からそうだ。
「 …駅前のカフェ、行かない?雨だし。 」
雨も降ってるし、立ち話は嫌だ。
天音の言葉に 頷いて、傘をさして駅まで歩く。
別に今すぐ天音を突き放すことだってできるけど
そんなことできるほど俺も意志が強いわけでもない。
やっぱり天音を見ると、いや、声を聞くと…
「 いらっしゃいませ〜 」
駅前のカフェにつき、定員に案内されたテーブルへ向かう。
さっきから思ってたけど
天音から甘い香水の香り。
「 香水つけるようになったんだ 」
俺は 椅子に腰掛けて天音に言うと
「 どう?いい香りでしょ? 」
って 得意気にする、
…その表情 俺が弱いの知ってるくせに。
そんなことを思いながら、
「 そう? 」
って メニュー表をテーブルに広げる。
「 紫月は 香水とか嫌いそうだもんね 〜 」
俺は 何も答えず 近くにいた店員を呼び、
「 ブラックコーヒー2つ 」
伝える。
