すぐに頭に触れた平石の手は離れて、

「 … あ。ねぇ、平石?」


また呼び止めてしまって、

「 ほんとは、今日の試合見て、、

 …… 惚れたよ? 」



私は、思わず 口を開いて
最後は消えそうな声で言った。


「 ん? 」

聞こえなかったのか 平石が首を傾げる。


「 なんでもないー。」

…恥ずかしい!!

私ひとり言って恥ずかしくなって


「 そんな顔真っ赤になりながら言ってくれるんだ 」


って 平石の両手が私の頬に伸びて

「 たまんない、、」


左口角を上げて いつもの得意げな顔を見せる。


その表情は危ない時、

余裕ない私の心臓はドクドクと音を立てる。



「 聞こえてた? 」

「 聞こえてないとでも思った? 」


低い平石の声、

私は うん と笑って見せる。


「 今日は素直じゃん」

「 いつも素直なんだけど。」

「 はいはい 」



それは嘘で、今日はなんだかそういう気分。

というか、余裕もない



実際に天音ちゃんを見た後から。


平石にとって 天音ちゃんが特別なことは
見ていて分かってしまうから。