「 家、そこだから。ここで大丈夫 」
家の横の公園。
結局、私を送り届けてくれた平石。
何度も駅まででいいって言ったのに…
18時を過ぎて、少し薄暗くなった。
「 りょうかい。…… じゃあ、またな 」
って ポケットに手を突っ込んだまま言う。
帰りはあっさりと背中を向ける平石に
私は少し寂しく感じる。
それに、送ってもらったお礼も言ってない。
「 ねー。」
「 …ん? 」
私は 平石の背負っている大きなリュックを引っ張って声をかけると全く表情を変えず振り返る平石。
「 今日 ありがと。」
それだけじゃない、お姉さんのお店に連れて行ってくれたことも
家族のことを話してくれたことも
全部今日はすごく嬉しくてお礼を言いたいのに。
素直になるのが下手な私は これが精一杯
「 あぁ。」
って 愛想ない返事。
本当はもう少し一緒にいたい、
そう思ってしまう私はどうかしてる。
何も言えないまま、
「 …また明日な 」
平石はポケットから右手を出して 私の頭にポンと置くから 胸が苦しくなるんだ
