クールな彼の甘苦い罠






「 松木 何にする? 」

メニュー表を開いて 私の前に出してくる平石


たくさんメニューがあり、
優柔不断な私はなかなか決められない


「 咲良のオススメにしようか?」


見兼ねたのかお姉さんが提案してくれて

「 ぜひ!!」

私はそうすることとした。

「 びっくりした? 」


お姉さんがキッチンで作り始めると平石は聞いてくる。


「 うん 、お姉さんいたんだね 」

私は ひとつ知れたことが嬉しい

じゃあ、なんでこの前家族のことを聞かれて嫌がっていたのか、、


何となくそれ以上聞いちゃいけないのかとも思いながら
「 綺麗なお姉さん 」って呟くと、



「 ねーちゃんは歳10コ離れてて、父親が違うんだよね。

 …まぁ、父親って言っても 今は俺もいないけどさ。」


って カウンターに置いてある 箸立てを見つめるように話す平石


「 うん 」

「 俺は自分の父親に会ったことないし、母親も俺が中2の頃 男と出て行った。」


その話の内容は、どう声をかけていいのかもわからない。


「 だからねーちゃんが俺の面倒見てくれてたわけ。今は結婚して別々だけど 」

って 、ちょっと笑って見せる平石に
私は胸がギューっと苦しくなった。