クールな彼の甘苦い罠





今日は学校じゃないけど、
平石の横を歩くのはやっぱり慣れない


私は 少し後ろを歩いてみる。

… やっぱりこっちが落ち着く

… さっき 天音ちゃんと何を話してたんだろう


なんて ぼーっと歩いていると


「 わざと後ろ歩いてんの? 」

って、振り返って聞いてくる。


私は「 うん 」って 頷き、ごめんねと付け足す。


だけど、こういう時の平石は容赦ない、、


「 横きて 」
「 あっ …… 」

突然 右手を引っ張られて
私は前のめりに体勢を崩しそうになる。




「 わかったから… 手。離して 」


すぐ横に並び、右手を解放するよう言うと
スッと離れる手。


それ以上は何も言わないけど

私の歩くスピードに合わせてくれている。



本当はやさしいんだよね、


さっき、天音ちゃんと何があったかは
絶対に聞けない気がして…



「 何で いつも後ろ歩くの? 」


信号待ちで、聞いてくる平石。


「 平石みたいな人気者の横歩けるほど私は自信ないもん。モテるし 、ファンだっていっぱいいるし 」


平石のファンは怖いんだからね。

勘違いされていじめられるとか絶対いや。


「 ふーん。今は誰もいないからいいだろ? 」


信号が変わると、肩が触れるくらいの距離に詰めてきて歩く。




こうやって 触れられると好きになっちゃうのに。



この前 伝えたのに 。