クールな彼の甘苦い罠






色々 よくわからない。


なんのために 私は待たされているのか、


天音ちゃんを見た平石は一瞬 切なそうな表情を浮かべたのも私は見逃さなかった


時計を見ると

……20分経った。


すぐじゃないじゃん、、と思い

帰ろうかとも思ったけど…待つことにした。



平石ともう少しでも一緒にいたいと思ったから。



それから更に5分ほど過ぎた時、


「 … ごめん。待たせた」


って 息を切らしながら来た平石


「 待たせすぎだよ、ほんと 」

私は ちょっと嫌味のように言ったけど

「 … ありがと、走ってきてくれて 」


って 笑ってみせる。



「 これから行きたいとこあるんだけどいい? 」


… え。

ただ帰るだけかと思ってた。

私は待ってて良かった。なんて思いながら

ちょっと嬉しくて……頷く。



「 少し歩くんだよね、平気? 」


いつになく優しく気遣う平石

自分の方が絶対疲れてるはずなのに、


会場を出て、駅とは反対方向へ歩いていく。