クールな彼の甘苦い罠


「 行っていい? 」


… ずるい。

ちょっと照れ臭そうに笑う松木は可愛い

なのに、

「 好きにしろよ 」

本当はこんな態度を取りたいわけじゃない

むしろ、きて欲しい。

だけど、藤野と松木の仲の良さに少しイライラしている自分もいて、松木を目の前に不機嫌に振る舞ってしまう



「 … 機嫌悪い?」

眉を下げて言う松木、

「 別に。」

「 … 試合 応援してるから。」


松木は眉を下げたまま、俺を見て言う。


嬉しい言葉、それなのに何も言えない自分がむかつく。


触れられる距離にいるのに、


『 簡単に触れるから、
 触れられると好きになっちゃうよ 』


そう言った松木の表情を思い出し


やめた。


あの日、『 好きになればいいのに 』

そう、言いたかったのに


あの時 頭に思い浮かんでいたのは松木じゃなかった。


写真を見てしまったから。