クールな彼の甘苦い罠





「 じゃ、菜桜と稜矢くんで行ってくるよ!」

って 菜桜はニヤニヤしながら言い

「 はるの食べたいデザート、私はちゃーんと分かってるから 」

って 付け足す。


いやいや、、そういう問題じゃない。。


「 てことで!片付けお願いしまーす 」


って 自由な菜桜と稜矢くんは行ってしまい、、


テレビの音と蛇口から出る水の音だけが響く



2人でお皿を洗いながら

「 なんで一人暮らししてるの? 」



ずっと疑問に思っていたことを聞いてみた


「 色々 」


「 家族は?近くにいるの? 」


…私、平石のこと何も知らない。

だから、知りたいと思ってるのに


「 それ、知ってどうするの? 」


って 強めの口調と険しい表情
逆に質問で返されて戸惑う

だって、平石の表情がいつもと違うから。


私、分かってしまった。



聞いたらいけなかったんだ。きっと。



平石の質問に対して、何も答えられず
隣で黙々とお皿を洗い続けた。



もちろん、水の流れる音だけが部屋に響いていて
触れそうなくらい近くにいるのに

心と気持ちはすごく遠くにいる気がした。