「 はるは?紫月くんとどうなの? 」


菜桜は 私の話へと話題をかえる。


「 分かんないの。あいつが何考えてるのか 」


バスの中での話をした、


簡単に触れてくるのに、

絶対に入り込めない何かがある気がする


聞いてしまえば壊れてしまいそうな何かが。



「 ずるいよね。勝手に触れて 突き放されそうで
 入っていけないの。」


この前だってそう。

先輩とのことを聞けば 機嫌が悪くなる


それに、あの時だって…

先輩のことに触れたら、キスされて。



「 好きなんだ?
 はるもいい機会じゃん… 坂下のこと切り替えられるんじゃない? 」


坂下 航平 ( サカシタ コウヘイ )


私の元カレで、


私の初恋で失恋の相手


「 平石だって彼氏持ちの人とキスしてたからね?
 航平くんと同じだよ 」



そう、私の失恋の理由は

航平くんと知らない女の子がキスしてたからで。



だから、あの日、

平石のことを最低だと言った


先輩の彼氏を自分に重ねたから、



なんだか許せなかったんだ。