ドンッとドアに背を押し付けられ、
目の前には切長の鋭い目で見下ろす男
平石 紫月( ヒライシ シヅキ )
知らない人はいない、
学年1の秀才で 運動神経抜群
背も私より頭ひとつ分以上大きく
おまけにカッコいい
だけど、
こうやって 遊んでるとは知らなかった。
それに、相手のいる人となんて……
「 何か 言いたそうな顔してる 」
って、低い掠れた声。
私の目をじっと見て表情を変えない。
「 … あの女の先輩って彼氏いるよね 」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟くと
「 だから? 」
って 私の左手は強く握ったまま
冷たく言い放つ。
「 … いいと思ってるの? 」
私には理解できない。
きっと 彼女の相手は知ったら辛いと思う
どうかして欲しいわけでもない
だけど なんとなく 許せない気持ちになって、
ついつい 彼に言ってしまった。
