平石と廊下を歩くのは危険なことで、
「 あの2人…なんで?…」
とか
「 紫月くんかっこいい 」
とか 女子の声はもちろん聞こえてくる訳で、
半歩後ろなんて意味なかった。
…本当にモテるんだあ、、
あの日キスをされるまで
あまり意識したことがなかったから気づかなかった、、
ポケットに手を突っ込んで歩く大きな後ろ姿を見ながら距離を取った。
食堂へ続く廊下から離れた死角にある
4台並んだ自動販売機
食堂へ続く廊下を歩きながら
「 歩くの遅い 」
って 不機嫌そうに振り返る平石
「 あんたの横 歩けないよ 」
って 人通りが少なくなり
私は 少し距離を詰めて言う。
「 は? 」
って強い口調で言い
私を見下ろす その顔は怖い。
「 勘違いされちゃうし、
あんたのファンに殺されちゃう 」
私は笑いながら平石の横を通り過ぎて
自動販売機の方へ向かった
「 … むかつく。」
平石がポツリと呟いたその言葉は
私には聞こえなかった。
