だが。
間一髪のところで支える事が出来
倒れるのを免れた。
「すげぇ熱だぞ!」
腕の中で呼吸を荒くしている彼女の額に手を当てると
その熱さで高温なのがわかる。
「お嬢さんッ」
抱き抱えたまま降りてきた狭い階段を上がり
すぐに彼女の部屋へと直行。
苦しそうに荒い呼吸を続ける体をベッドに寝かせた。
「どういう事だ。
さっきまでそんな素振りなかったじゃねーかよ」
異変に気付かなかったワケではなく
具合の悪そうな様子がなかったのだ。
それはまるで…
カトレアは何かに突き動かされていて
その電池が切れたよう。
「…冷やすもんが必要か」
すでにこの家の中は把握している為
手慣れた様子でタオルや氷水の準備を始めるが
金庫の場所を特定した事・鍵の開け方を
なぜ突然カトレアがわかったのか
その疑問が頭から離れない。
「記憶を思い出したか」
それが最も自然で
1番、納得がいく。
だとすれば
そのキッカケになったシオンの存在が気になる。
「あの男、何か知ってるな」
キーパーソンである事は確信していた。



