SP警護と強気な華【完】


この中に入っている事は確実だろうが
問題は“鍵”

「テンキーの暗証番号に鍵穴
 指紋認証にもなってるとは…。
 さすが大金を隠してるだけあって厳重だな」

「はい。
 でも全部わかりましたので大丈夫です」

「え…」

カトレアの言葉に
柊は目を丸くし言葉を失った。
いつの間に、なぜわかったのかと。

「暗証番号は私と母の誕生日を組み合わせたもの。
 指紋も…私の指」

言いながらテンキーに数字を入力し
センサーに人差し指をかざす。

「最後にコレで開きます」

鍵穴にペンダントの先を差し込むと
ガチャ…と金庫内でロックが外れる音が響いた。

柊の手も借りて重たいその扉を開けると
中には隙間なく大量の札束と金の鋳塊が並べられている。

「すっげぇ…
 これ全部、本物か…?」

「…」

あまりの大金に瞬きも忘れ驚愕している柊に対し
カトレアの目からは一筋の涙が――

「お嬢さん…?」

「知らなければ良かった」

立ちすくみ
泣いている彼女に声を掛けても
その悲しそうな表情は変わる事なく
返ってきた言葉に悔しさが滲んでいる。