SP警護と強気な華【完】

(そう言われてもッ)

走った先は行き止まり。
後ろから追ってくるは悪に塗れた黒い男達。

まさに絶体絶命に陥っていたーーー

「ちょこまかと逃げやがって」

「大人しく観念しろ」

ジリジリと男達はカトレアを追い詰めていく。

(どうしよッ
 せっかくあの人が逃がしてくれたのに…
 こんなところで殺されちゃうッ)

弱音を吐いてはいけないとわかっているのに
差し迫る恐怖にどうする事も出来ず
じわりと目元に涙が溜まる。

「さぁ、一緒に来るんだ」

「い…いや…ッ」

腕を掴まれ
もうダメかと思った、その時ーーー

走る足音が聞こえたかと思うと
男達が()ぎ倒されていく。

まるで風のように
それは一瞬の出来事。

「ひ…いらぎ…さん」

気を失っている男達を見下ろす彼の姿が
そこにあった。

「よかった…」

「お嬢さんッ」


ズルっとその場に倒れ込みそうになるカトレアを
寸前のところでキャッチした。

「大丈夫か!?」

「力…抜けてしまいました」

「…ッ」

苦笑いを浮かべる彼女を
柊は沈痛な表情でギュッと抱きしめた。