SP警護と強気な華【完】

授業が終わった中庭には大勢の生徒が歩いていて
叫び声がキッカケなのか
騒ぎを聞きつけた野次馬が増え
あっという間に事態は大きくなり
悪い展開へと変わってしまう。

「ち、違うんだ!
 僕はただッ」

男が取り出したナイフは
“脅しのつもりだけ”だった。
しかし注目を浴びる羽目になり
慌てた男はナイフ(それ)を振り回す。

「ちっ
 人が多すぎる」

男の行動を注視していた柊だったが
叫び声やら次々に増えていく生徒達が視界を邪魔し、集中力を阻んでいる事に思わず舌打ち。

「これじゃ他の生徒にも危害が及ぶか」

護る対象はカトレアだが
だからと言って関係のない人達を巻き込んで
怪我をさせるワケにはいかない。
けれど男はパニックを起こしていて
今にも見境なく飛びかかりそうな勢いだ。

いろんな展開を考えながら
彼が出した答えは…

「おい、少し落ち着け。
 このままだとお前、犯罪者になるぞ」

説得という名の時間稼ぎだった。

「う、うるさい!黙れ!!」

男は奇声に似た声で叫び
ガタガタと全身を震わせている。