ツッコミ箇所は幾つも思い浮かぶが
あえて口には出さず大人しくしていると
処置の方も終わったらしく…

「傷は深くないからすぐ治る。
 それより、さっきの話を詳しく教えろ」

『さっそく』と言う様に
本題へと切り返された。

「はい…。会ったのは図書館でした。
 相手は男性で、年齢はわかりませんが
 たぶん私と変わらないくらいかと思います」

「と言う事は…生徒か」

腕を組み難しい顔をしながら考え込む柊に
カトレアは続ける。

「向こうは私を知っていましたし
 遺産の場所も聞かれましたが…」

「やはり目的は金か」

「それは…」

男の言葉が脳裏を掠め
一瞬カトレアは答える事を躊躇した。
もちろんその違和感はすぐに気付かれ。

「なんだ、どうした?
 まさか…そいつに何かされたのか!?」

「ち、違います!!」

また激昂しかける柊を
抑えるように遮った。

「ただあの人…
 お金が目当てじゃないって言っていたし
 なんていうのか…本当に悪い人なのかなって…」

どう伝えればいいのか
言葉を選ぶ。