(警察官なんだから潜入捜査は得意なはずなのに
変装でミスするなんて、意外と天然…)
大真面目な割に脇が甘いんだな、と
思わずカトレアはクスクスと笑ってしまった。
怒っていた事もバカらしく思い
彼に声を掛ける。
「柊さん、良かったらご飯食べていきます?」
『せっかくなので』と付け加えて提案すると
彼は少し驚いた表情を見せたが。
「怒っていたんじゃねーのか?」
「もういいんです。
気にしないでください」
「あ、あぁ…そうか。
じゃぁ、頼む」
遠慮がちに答え
躊躇い気味にリビングに入ってきた。
「座って待っていてください」
どこにいるべきかと困惑している彼に
『そこへどうぞ』と簡単に伝え
再び包丁を手にする。
暫し静かな時間が流れるーー
「「・・・・」」
(き、気まずい…
何か喋っていた方がラクかも…)
待っていてと言ったはいいが
料理の音だけのBGMで2人きりという状況に
妙な緊張感が漂う。
「あ。そういえば…」
何か会話を、と考えていたが
柊に話さないといけない重要案件を思い出した。



