彼の言ってる事も“間違い”ではないが。
(でも逆に言ったら
どうせ見てわかる事なら
最初に口で伝えたって同じじゃない…)
むしろ最初に説明しといた方が説明を省く分
何かとラクなのではないか、と
カトレアは頭の片隅で思ってしまった。
「まさか変装して忍び込むとは考えもしませんでしたから、驚きましたよ」
そう言いながら
中断していた夕飯の準備を再開。
喋りながらもテンポ良く包丁捌きはお手の物。
「警護と潜入捜査も兼ねてだからな。
普段の姿だと目立って入れねぇ」
聞きながらも耳に入る彼の言葉に
ふと思う。
なぜその格好ならイケると思ったのだろうかと。
「その姿の方が余計に目立ちますよ。
それでなくても若い講師の先生が少ないので
女子には新鮮なんですから。
生徒に追われるの羽目になるのは
自業自得だと思います」
嫌味も含めて
少し驚かせてみた。
「そうなのかよ。
それじゃぁ逆効果じゃねーか…」
『最悪だ』と肩を落とす彼は
どうやら本気でイケると思っていたらしい。



