文句の1つも言いたいのは山々だったが
柊の緊張した声色から
切羽詰まった状況下に置かれている事を察し
カトレアはすぐに玄関のドアを開けた。
「悪いな、入るぞ」
何かに追われているのか
辺りを気にしつつ逃げるように家の中に入ってきた。
服装も髪型も大学講師のままだが
いつもと同じ柊に見える。
「ど、どうしたんですか?」
玄関横の窓から外の様子を伺う柊に
恐る恐る尋ねてみると。
「なんなんだ…あの女達は…」
疲れ切った顔で
ガックリと腰を落とした。
「女…?」
「アンタんとこの大学の女共だ。
いきなり数人で束になって追い掛けてきやがったんだ。
いったいなんだよ、アイツらは。」
追い掛けてきた人物を聞いた途端
『心配して損したな』と
一気に思いやる気持ちが薄れるカトレア。
「そんな格好をしていたら
女の人達に追い掛けられるのも当然です」
呆れて溜め息交じり言葉を吐き捨て
カトレアは1人、先にリビングへと戻っていく。
そんな彼女の態度に
違和感を持った柊も中へ。



