それでもカトレアは
弱点を握られ、尚且つ敵の口車に乗せられる事を恐れて強がりを見せる。
「そうやって言い包めて私から奪おうとしても無駄です。
あなたにはお金は渡しませんし
殺されるつもりもない」
ハッキリと拒絶の言葉を口にしたところで
ただの負け惜しみになってしまうのだが
大人しく黙って言う事を聞くほど
か弱いお嬢様ではなかった。
「ふーん。それで?」
「それでって…」
「あいにく俺は金が目当てじゃないんでね。
金なんてどっちでもいいし」
「・・・は?」
冗談みたいな男の発言に驚かないはずがなく
もちろん信じられるワケもない。
そもそもそうなると
男が聞いてきた質問の意図がわからない。
「お金が目当てじゃないって…
だってあなたさっき
『10憶と開ける鍵はどこだ』って聞いたじゃないですか。
欲しかったからじゃないんですか?」
欲しくなきゃなぜ聞いたのかという
根本的な話になる。
「俺が興味あるのは、お前自身」
「ッ!?」
「俺はずっと
お前を捜していた―――」



