SP警護と強気な華【完】


しかし考えたところで
遺産を相続されていた事実すら最近聞いたばかりのカトレアが、それ以上を知るはずもない。

「お金の事は…
 どこにあるのか私にもよくわかりません。
 何も聞いてもいないので答えられない…」

「へぇ、まだ(しら)を切るんだ」

「違います!そうじゃないッ」

必死に訴えようとするも
男は聞く耳を持たず。

それどころか…

「このままだとお前、死ぬぞ」

険しい表情で脅しの言葉を口にする。

「額を聞いただけで飛びつく人間は多い。
 その金が手に入るとなれば
 強欲まみれの人間は目の色を変えて
 なんとしてでも探し出そうとする。
 持ち主が若い女となれば
 殺してでも手に入れようとするのは当たり前。
 そうなれば、お前は確実に()られるな。
 死ぬまで命を狙われるぞ」
 
男の言葉には説得力があった。
敵だから余計にそう思うのか
逆に言えば
どうしてこの男が忠告なんかをしてくるのかと
不思議に思う。

「あなたは私に
 どうしろと言うんですか?」

そんな相手に質問してしまった。