ぶつかった衝撃で
その振動と音が本棚に伝わり
他の生徒達が一瞬顔を上げて辺りを見回している。
「…ッ」
棚の部分が腰に当たった痛みで
顔を歪めたカトレアに男が囁く。
「あんまり下手な事すると
このままここで裸にしてもいいんだぜ?」
「なッ」
「ヤるか殺られるか
どっちにしろ公開処刑になるな」
(冗談なんかじゃなくて
たぶんこの人、本当にする…)
悪意を含んだ目と服に掛ける手に
恐怖が過ってしまい
男の前で観念するしかなかった。
「…わかりました、答えます。
あなたの聞きたい事って…なんですか」
「初めからそうやって素直に大人しくしてれば
痛い思いをしなくて済む」
掴んでいた両手を放し
体から離れるように一歩後退する男。
「お前が持っている10憶と
それを開ける鍵はどこだ」
質問の内容はやはり黒谷と同じ。
けれど1つだけ気になる言葉を耳にした。
(“開ける鍵”…?)
男の言い方だと
10億の隠し場所とそれを開けるための鍵の存在。
その両方を知るにカトレアなのか。



