下手に慰めの言葉は掛けられず
悩んでいる彼女に頑張れとエールを送る訳にもいかないため
柊は頭をフル回転させて考えた。

「ま、まぁ…あんま追い詰めるな。
 過去の記憶を掘り返す事に躊躇する人間もいるんだ。
 無理に今すぐ全部を思い出さなくても良いんじゃねーか?」

「もしかして、柊さんにもそんな経験が…?」

「…例え話だ。俺とは言ってない。
 とにかく、考えるのは追々でいい。
 その間に何か手掛かりも見つかるだろ。
 とは言え、約束も根拠もねーけど」 

あっさり適当な発言をする柊に
カトレアは少し驚き
そして思わず吹き出した。

「柊さんでもそんな軽く言うんだ。
 ちょっと意外…。
 しかも慰めてくれてますよね?」

「アンタなぁ」

『せっかくフォローしてやっているのに』と言いたげに呆れ顔の柊。

「嬉しいですけどね。
 柊さんのおかげで少し元気が出ましたし」

「そうかよ…
 これで少しは眠れるか?」

話が一息ついたところで
柊は立ち上がりソファを元に位置に戻しながら問い掛ける。