本の下敷きになっていた所から
カトレアは3人で写っている写真を見つけた。
「あ…これ…
懐かしい…」
手に取って思わず小さく呟くと
聞こえていた柊も手を止め写真に目をやる。
「お嬢さんの子供の頃?」
「あ、はい…
小学校の入学式のです」
「ふーん…
この両サイドは?」
「右が母で、左が祖父です」
両親かと思っていた柊は
カトレアの返答を聞いて疑問が浮かぶ。
「父親…いなかったか?」
「え…」
「…いや、なんでもない」
不思議そうな表情をするカトレアに
触れてはいけない発言を口走ったと思い誤魔化したが
彼女はそれに気が付いた。
「父は…いない、みたいです。
私が6歳の時に母と離婚しているようなので。」
「なぜ曖昧なんだ…?」
自分の事なのに
”いないみたい”で”離婚してるらしい”なんて
まるで他人行儀。
「それが…子供の頃の記憶があまりなくて
父がいたのかも、よく覚えてないんです」
意味深なカトレアの言葉が妙に引っ掛かっていたが
柊はずっと黙って聞いていた‐――



