SP警護と強気な華【完】


「ったく…
 マジでアンタって女は危なっかしいな。
 こっちの身が保たねーよ」

文句を言いながらもカトレアを背で守るように
先を歩いて静かに室内へと入ると
すでに点けていた電気のおかげで
一瞬でその現状が明らかになった。

「ひっでーな…」

各部屋の収納棚の中身は全て床に散らばり
部屋のクローゼットは全開され
洋服等はすべて外に出されている。

その共通点で1つだけわかる。

「何かを探していたのか…?」

散らかった室内を見回しながら
柊は冷静に分析。

カトレアは足元に転がる物を拾いながら
強張った表情で不安を口にする。

「ここにもし本当に遺産の手掛かりがあるなら
 これからもこんな事が起こるんでしょうか…」

独りで生活をする彼女にとって
それがどういう意味を持つのか
誰よりも理解していた。

「考えるのも調べるのも明日だ。
 今日はもう遅い。
 警察が提携している一時避難用のホテルに行くぞ」

彼女の不安を感じ取った柊は
警察が(かくま)うホテルへと連れていった。