SP警護と強気な華【完】


カトレアを余所に
彼は腕を組んで難しい顔をして呟くように言う。

「20歳の誕生日に相続する遺産の金額は10憶…
 これが爺さんの遺言の全部だとして
 あの男がそれを知っているのは不自然だな。
 裏で糸を引いてる黒幕もいるかもしれねーし
 どこでアンタの情報を聞き出したか
 出所(でどころ)を調べる必要があるか」

聞きながらカトレアも首を縦に振る。

「わかりました。
 私も協力します」

「なんだよ。
 急にやる気だな」

さっきまでと違い
急に受け入れたカトレアに柊は鼻で笑う。

「だってもしその遺産が本当なら
 どうしてお爺様が私に残したのか
 それがどこにあるのか、知らないといけないから」

自分に置かれている状況を身をもって理解したせいか
気持ちが吹っ切れて覚悟が強くなっていた。

そしてそれは柊にも伝わっていて。

「…わかった。
 だけどとりあえずお嬢さんの役目は
 自身の命を守って死なない事だ。
 何かしらの鍵を握っているはずだから
 命を落としたら意味がない」