不良みたいな柊に対し
『あなたが1番怪しいんだけど』と思ったのは
仕方がない。
「確かに疑いは持たなかったし
だから殺されかけたんだけど…
でも彼のおかげで
遺産については1つわかった事があります」
「なんだ、どういう事だ?」
真剣な目とハッキリとした口調のカトレアに
柊の目つきも鋭く変わる。
「彼…
私も知らないお爺様の遺言内容を知ってた。
遺産の金額も…」
「いくらなんだ…?」
「…10憶」
「はぁッ!?10憶だぁ!?」
カトレアから聞かされて知った総額の桁に
SPとしてあるまじき声をあげてしまった柊だが
外だった事を思い出しすぐに『まずい』と口を噤み辺りを気にする。
「想像以上にマジでスゲェ大金…。
そりゃぁ彼氏として近付いて
殺してでも手に入れたいと思うわな」
「蒸し返して傷口を広げるようなこと言わないでください」
裏切りによる心の傷が全然癒えてないカトレアにとって
柊の言葉は深く突き刺さる。
もちろんそんな事は柊にとっては他人事。



