信じたくはなかったが
黒谷本人からも金を狙っている発言があったし
実際に死にかけたのだから信じざる得ない。
「彼が…どうしてそんな…」
「どうしてかなんて、こっちが知りてーよ。
アンタには悪いが
近付く人間は疑った方がいい。
それが男だろうが女だろうが
信じすぎると命なんて幾つあっても足りない」
信じて付き合った相手の正体をこんな形で知り
ショックを受けて放心状態なカトレアを流し目で見ながら
柊は更に追い詰めるように釘を刺した。
「疑うのも信じた後の裏切りも
どっちも人間不審になりそう…」
「ま、早く忘れる事だな」
表情を曇らせ肩を落とすカトレアに
軽く交わす柊。
「息はもう苦しくねーか?」
「はい…」
「じゃぁ帰るぞ。
送っていく」
落ち込む彼女と黒谷の部屋を出ると
クリスマスの終わった真っ暗な外を
静かに歩いていく。
「そういえば…
柊さんがどうしてあの家に…?」
カトレアは
目が覚めた時に疑問に思った事を思い出し
本人に聞いてみた。



