SP警護と強気な華【完】

カトレアの首を絞めていた黒谷だったが
背後から聞こえてきた激しい物音に驚いてしまい思わず手を緩めて振り返ると
それとほぼ同時に
顔面に柊からの右ストレートが。

「ッ!?」

何が起きたか理解出来ないまま
殴られた勢いで吹っ飛ばされ
テーブルに激突。

「悪趣味なプレイしてんじゃねーぞッ
 変態野郎がッ」

女に馬乗りになって首を絞めている行為が
SMプレイに見えたのだろうか。
…見えないだろうが。

柊は、頬を抑えながら呆然とする黒谷の胸ぐらを掴むと
間髪入れずにもう1発殴りつけた。

「くそ…ッ」

黒谷にとって柊の登場は誤算。
もう少しでカトレアを(あや)めて10億が手に入ったのにと、悔しさを滲ませながら慌てて起き上がると
逃げるように部屋を飛び出していってしまった。

「ったく、あんな男に騙されやがって」

言いながらソファに目を向けるが
カトレアからの返答はなく
横たわったまま、ぐったりして動かない。

「お、おい…マジかよッ」

そんな彼女の姿を見て
柊の頭にも浮かぶ”死”の文字。