「カトレア…」
「え…?」
そっと優しく、彼女を抱きしめる柊。
「もし本当に
お嬢さんの言う通りだったら…
出会って…良かった」
絞り出すように呟く言葉
彼の目からは一筋の涙が頬を伝う。
「柊さん…私もです。
出会えて、幸せです」
カトレアもまた
背中に手をまわして応えた。
「今思えば
俺はスゲェ大役を担ったワケか」
「確かに大役ですね」
お互い抱き合いながら
冗談交じりにクスっと笑う心地良い時間が流れていく。
「そうだ、これ…」
先に離れた柊は
ポケットから紺色の小さな”箱”を取り出した。
「え…」
それが”何か”はカトレアにもすぐにわかり
驚いて思わず口を押えてしまった。
「家族になるって約束しただろ?」
言いながら彼は箱を開け…
「結婚しよう」
「はいッ!!」
薬指にキラリと光るエンゲージリング
込めた愛に、2人は口づけを交わした―――――
【完】



