SP警護と強気な華【完】


しかしカトレアは
晴れ晴れとした気持ちだった。

「遺書はね、金庫の中で見つかったんだよ」

そう言って1枚の手紙を柊に手渡した。

『遺産10億の相続は
 20歳の成人を迎えた孫娘”冬月カトレア”へ譲り渡す』

三つ折りに折られた便箋には
祖父の字でカトレアに遺したメッセージが綴られていた。

【カトレア、20歳の誕生日おめでとう。
 成人した祝いに”プレゼント”としてお前に渡す。
 これから先の人生、きっと役に立つはずだ。
 だが1つだけ、私はお前を心配している。
 金は人を狂わす。
 お前の思うように使って欲しいが
 貪欲にならず自分を見失うな。
 カトレアらしく、美しく育って欲しい】

「私が独りになってしまったから…
 せめてもの気持ちで遺してくれたお金だった…」