「死んでねーよ」
屋上に上がってきたパーカー姿の眼鏡の男。
ポケットに両手を入れて
気怠そうにカトレアの方へと歩いてくる。
「柊さん!?」
そう――
彼は生きていた。
傷は深く出血も多かったから
そのショックで一時、危険な状態でもあったが
さすが鍛えているだけあるのか
それとも仕事柄、慣れているおかげなのか
意外と早く目が覚めたのだ。
そしてこれが
意識を取り戻した2人の
初めての再会。
「病室にいないから
どこに逃げたのかと思った」
「柊さんッ」
あいかわらずな柊の言葉だが
カトレアは気にも留めず
勢いよく彼の胸に飛び込んだ。
「ッ痛。おい、バカ
負傷してんだから痛ぇだろッ」
決して完治しているワケじゃなく
未だに入院の彼の身に
このダイブは痛い。