「お嬢…さん…」

ぐらりと体勢が崩れ壁に手を付く柊に
カトレアはハッと我に返ったが
彼の顔に血の気を感じない。

「悪い…お嬢さん
 アンタを背負って…
 出られそうもない…」

「柊さん…」

「結局…助けてやれんかった…ッ」

頬を伝う柊の涙に
カトレアは、そっと彼を抱きしめた。

「助けてくれました。
 あなたはいつだって
 私の傍にいてくれました」

「お嬢さん…」

「まだちゃんと伝えてなかったね…」

そう言って柊から体を離し
彼の頬に触れながら告白した。

「私も…あなたの事が好き」

「カトレア…」

「たとえここで命が尽きたとしても
 柊さんと一緒なら…怖くない」

「…あぁ、俺もだ」


『心から…愛してします』


交わしたキスに
想いを伝え


2人は動かなくなった―――――



                                
                     【終わり】