SP警護と強気な華【完】


しかしもう
カトレアは恐れる事がなかった。

この肩の傷だと
早かれ遅かれ自分は終わると。
その死期が少し早まるだけだという事に。

だから彼女は目を閉じて覚悟した。


「さよなら、カトレア」


バンッ―――


何度目かの銃声の音を聞きながら―――






「お嬢さん…」

聞き覚えのある声に
カトレアはゆっくりと目を開けると
目の前には柊の姿が…

「え…」

父親に背を向け
カトレアを庇う形で壁になっていた。

「遅くなって…ごめん…ッ」

しかし様子がおかしい。

苦しげに顔を歪め
ズルズルとその場に両膝をつく。

腹部からは出血が…

「柊さんッ」

カトレアの代わりに撃たれてしまったのだ。

「普通…防弾ベストは着てくる、よな…」

『ミスった』と苦笑いを浮かべる柊に
カトレアは涙が溢れた。

「なんでこんなッ」

「お嬢さんを守るのが
 俺の役目だから…」

「柊さんッ」

止まらない柊の出血は
押さえる手も真っ赤に染めていく。

カトレアも自分の肩から流れる血も止まらないままで、もうどうしたらいいのかわからなかった。