それでも尚、手を止めようとはしない父親に
息も絶え絶えにカトレアは質問した。
「そこまでして…
お金を何に使うつもりなの?」
「何を言っているのさ。
これだけあればなんでも出来る。
一生遊んで暮らせて何も困らないんだ」
それはあまりに短絡的思考
子供のような考えだった。
「そんな自分勝手な理由だけで…」
思わず口走ってしまった声を
父親に聞かれていた。
「カトレアはまだ子供だから
大人の苦労がわからないんだと思うけど
世の中、金が全てを支配する。
愛だの恋だの不要なんだよ」
「…そう」
瞬き1つせず金を凝視する父親の表情を
カトレアは落ち着いた気持ちで見つめていた。
だからこそ言ってしまった。
「可哀想な人…」
見下すように冷たく―――
「…どういう事だ」
挑発されたと捉えられる娘からの言葉に
目つきが更に悪くなる。
「私のお父様は
くだらない考えしか持てない
可哀想な方だったのね…」
「うるさいよ、カトレア」
そう言って
再び拳銃を向けた。



