例え誰かが犠牲になったとしてもーーーー

「お父様と2人で話がしたい。
 だから柊さんも含め警察官はココには入れない」
 
カトレアの決意を聞いた柊は
一瞬ピクりと眉が動き。

「俺は容認出来ねぇな」

低く重い口を開く。

「殺されるとわかっていて
 お嬢さんを独りに出来るワケねぇだろ」

護衛の任務があり
ましてや好きな女なのに…

「ダメ、それだとあの人は来ない。
 意味がないんです」

「だからって」

「金庫が見つかったとしても!」

柊の止めを遮ってカトレアはシオンに言う。

「開けるには“鍵”である私が必要。
 だから殺せないはず。
 それに私の家族の事だから
 ちゃんと自分で終わりにしたい」

採算の合わない、一か八かの駆け引きに
失敗する可能性しかない事はカトレアだってわかっていた。

「簡単には信じないと思うよ」

「それでも伝えて。
 お金が欲しいなら言う事を聞いてと」

「…わかった」

「お、おいッ」

カトレアとシオンの中で話は終わったが
柊だけは納得いくものじゃない。

嫌な予感でしかないのだ。