シオンに対して気になった点とは
彼は拳銃やナイフなどは持っておらず
警察官に抵抗するワケでもなく黙って大人しくしていたから。

『何か言いたい事があって来たのかもしれない』
カトレアは率直にそう思ったのだ。

「シオンさん!」

いきなり飛び出したカトレアに
警察官は疎か
止めに間に合わなかった柊も慌てている。

「本人が来てくれたなら手っ取り早い。
 カトレア、俺はお前に話があって来たんだ」

「私も、話があります。
 中へ」

有ろう事か
敵であるシオンを室内へと入れるカトレアに
警察官達も止めに入ったり柊に至っては…

「アンタ何やってんだよ!」

大激怒。

それもそうだ。
自分の陣地に敵を入れるなんて
負けを認める事と同じ。

しかしーーー

「お嬢さん
 まさかこの男に頼むつもりじゃ…」

柊はカトレアの意図を察していた。

「シオンさん
 お父様…いえ、あなたのボスに伝えてください。
 お金はすべて、お渡ししますと」

彼の目をまっすぐ見つめるカトレアに
迷いは1つもなかった。