けれど確かな事が1つある。
(私は…
この人だけは信じられる)
自分の家族の事や柊自身の婚約者についても
今まで知らずに過ごしてきたけれど
本人の口から事実を伝えられ
そして今、カトレアに対する想いも打ち明けられて
不思議とそう思う気持ちが強かった。
彼が言う言葉1つ1つに
嘘偽りはないんだという事に。
「私は…」
カトレアも柊に
何かを伝えようとした時だ―――
「何か外が騒がしいな」
最初にその異変に気が付いたのは柊。
言われるままに窓の外に目を移すと
数人の警察官が家の外に集まり
何やら激しく怒っているように聞こえる。
怒号が飛び交う中
中心にいた”誰か”が見えた。
「え、シオンさん?」
なぜか1人で敵地に乗り込んできたのだ。
「まさかどうしてあの男がここにッ」
敵意を剥き出しにする柊だが
カトレアから見てシオンの様子に
どこか気になる点を感じ。
「見てくる」
「え、お、おいッ!」
焦る柊を置いて
なんの躊躇いもなく玄関のドアを開けるカトレア。



