しかしそんなのは
ただの勘違いだったのかもしれないーーー

「何もなかったなら良かったけど
 もう昨日みたいに遅くに1人で出歩いちゃダメだよ?」

「え…」

返ってきた彼の言葉に
カトレアは妙な違和感を覚えた。

「だけど優しい人に助けて貰えたみたいで
 僕も安心した」

また、違和感。

何時に出掛けていたかは伝えていないのに
なぜカトレアが出掛けていた時間帯が
"夜遅い"と思ったのか。

そして"1人"だという事も
助けて貰った事も言ってない。

「私…出掛けていた時間って言ったっけ…?」

「え…?」

「誰かに助けて貰ったなんて…言ってない」

不自然な黒谷の言葉にカトレアは胸騒ぎを覚え
離れるように少し身構えた。

(もしかして昨日のって、この人なんじゃ…)

そんな疑いすら芽生える。

しかし彼は
そんな事を言われたところで態度が変わりはしなかった。

「話の内容から推測すれば簡単な事だよ?」

動揺1つする事なく
否定するように余裕そのものの表情で言う。