お互いの“相手を思う”気持ちは同じなのに
それを言葉にしないから伝わらない。
特にカトレアは自分の家族内の出来事で
無関係な柊を巻き込んでしまった後悔が大きかった。
「お父様の存在も、まさか黒幕だったって事実も…まだ信じられません。
それに柊さんが過去のトラウマと罪の意識を背負っていた事も知らず、命を懸けてもらい申し訳ない気持ちばかりで…」
苦渋の表情で深々と頭を下げるカトレアに
柊が返って困惑。
「俺に関してはもう昔の話だ。
今は何も感じちゃいねぇんだから
そんなに謝られても困るって。
お嬢さんが生きてさえいてくれたら
それでいいから。だから気にすんな」
そう言って
また優しく頭を撫でる彼に
カトレアは涙腺が弱くなる。
「もう誰も傷ついてほしくない。
特に柊さんには…」
「お嬢さん…」
「だからもう。」
そう言って顔を上げたカトレアの表情からは
先程までとは違い絶対的な決意が現れていた。
「アンタやっぱり…」
言おうとしている事は
柊も薄々わかっている。



