SP警護と強気な華【完】

戸惑っているのは柊も同じ。

「父親でありながら金に目が眩んで
 お嬢さんを殺すつもりだったんだな」

警察署から呼び出されたのは
14年前のカトレアの誘拐事件について調べ直した事で発覚した事実。

そしてそれを聞いた柊もまた
全ての真相を知った。

「僕は無実だよ。
 カトレアに直接危害は加えていないし
 そもそも僕が興味あったのは、お金だけ。
 目的を果たすべくして起きた出来事なのだから仕方ない」 

「テメェっ!!」

怒り浸透した柊は
拘束している男2人を振り解こうと抵抗を続けるが、ヤツらの力は強くなるばかり。

そんな彼の姿を
嘲笑うカトレアの父親は――

「キミこそ。
 《《婚約者を殺しておいて》》
 他人を責められるのかな?」

意味深な言葉を呟いた。

「え…?」
(婚約者を…殺した?)

ナイフを突きつけられながらも
カトレアは顔を上げ目を丸くして父親を見る。

「もしかしてカトレアは知らなかったのかい?」

「…」

父親の言う通り
カトレアは何も聞かされておらず
だから答えられない。