SP警護と強気な華【完】


なぜカトレアが、この事を思い出したのか
彼女自身の口から柊に話始めた。

「私、子供の頃に1度
 祖父が地下の入り口を開けている所を見てしまったんです。
 その時に『ここに来てはいけない』と怒られて
 それがとても怖くて、それっきり部屋に入った事がなかったんです」

目を閉じて
更に続けた―――


当時カトレアは幼かったから
それが隠し部屋だとも
地下で大金が眠っているとも知らなかった。

知りたいとも思わなかったのは
普段は優しい祖父が初めて怒り
鬼のような形相を目の当たりにしたから。

怖くて、その事には触れられず
部屋にも近寄れなかった――――


「そんな事があってすぐ
 私は、誰かに監禁された…」

「え…?」

話の途中とは言え
思いも寄らないカトレアの発言に
柊は声を出してしまった。

「その”誰か”は思い出せない。
 でも…確かに閉じ込められていたの。
 音も風も…空気もない”箱”に。」

それが閉鎖的なエレベーターの中で思い出した
彼女の最初に蘇った記憶。